ゴットル・オットリリエンフェルト(読み)ごっとるおっとりりえんふぇると(その他表記)Friedrich von Gottl-Ottlilienfeld

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ゴットル・オットリリエンフェルト
ごっとるおっとりりえんふぇると
Friedrich von Gottl-Ottlilienfeld
(1868―1958)

ドイツの経済学者。ウィーンに生まれる。ハイデルベルク大学に学び、K・G・A・クニースやM・ウェーバーなどに師事した。ブリュンミュンヘンハンブルクキールベルリンの諸大学で教壇に立ち、技術論や経済学を講じ、またドイツ国民経済学研究所所長に就任したこともある。彼は、歴史学派の経済学やW・ディルタイ、J・H・ハイデッガーの哲学の影響を受け、経済学の研究における自然科学的な方法を排し、経済学は個人を超えた社会構成体を研究すべきことを提唱した。また社会科学は価値判断を行うべきだとして、実践的性格の強い経済学を展開し、当時のナチスに影響を与えた。主著には『経済の本質および根本概念』Wesen und Grundbegriffe der Wirtschaft(1933)、『民族国家・経済・法律』Volk, Staat, Wirtschaft und Recht(1936)などがある。

志田 明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ゴットル=オットリリエンフェルト
Gottl-Ottlilienfeld, Friedrich von

[生]1868.11.13. ウィーン
[没]1958.10.19. フランクフルトアムマイン
ドイツの経済学者。ハイデルベルク大学に学び,同大学講師を経て,ブリュン (現ブルノ) 工科大学 (1902~08) ,ミュンヘン工科大学 (08~20) ,ハンブルク (20~24) ,キール (24~26) ,ベルリン (26~38) の各大学教授を歴任。経済学における自然科学的方法を排し,超個人的社会構成体を中心とした経済生活を対象とすべきであるとした。ナチスが台頭するに及び,その全体主義思想を基礎づけるものとして重んじられた。主著『経済の本質と根本概念』 Wesen und Grundbegriffe der Wirtschaft (33) ,『民族・国家・経済・法律』 Volk,Staat,Wirtschaft und Recht (36) 。

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