工科大学(読み)こうかだいがく

精選版 日本国語大辞典 「工科大学」の意味・読み・例文・類語

こうか‐だいがくコウクヮ‥【工科大学】

  1. 〘 名詞 〙 帝国大学分科大学の一つ。明治一九年(一八八六設置土木工学機械工学造船学、船用機関学、造兵学電気工学建築学応用化学、火薬学、採鉱学、冶金学応用力学力学の一三科に分かれていた。大正七年(一九一八廃止。東京帝国大学工学部となった。
    1. [初出の実例]「分科大学は法科大学医科大学工科大学文科大学理科大学農科大学とす」(出典:帝国大学令(明治一九年)(1886)九条)

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大学事典 「工科大学」の解説

工科大学
こうかだいがく

19世紀までドイツの総合大学では,応用技術的な工学の分野はその範疇のなかから排除されていた。これらの分野の教育は,職業中等教育機関であった工学の専門学校で行われていた。これに対し19世紀の後半から,ドイツの目覚ましい技術の発展ともあいまって,これら学校に工科大学(Technische Hochschule)という名称が与えられることになり,高等教育機関に位置づけられるようになった。こうして発足した工科大学としてカールスルーエ(1865年)ミュンヒェン(1868年)アーヘン(1870年),ブラウンシュヴァイク(1872年)ダルムシュタット(1877年)ベルリン(1879年)などが挙げられる。これらの大学では大学修了証である工学のディプロームが付与され,徐々に博士号の授与権も獲得することになり,総合大学と同等の学術大学とみなされるようになった。1945年以降,多くの工科大学は工学以外の専門分野も擁するようになり,工業総合大学(Technische Universität)と呼ばれるようになった。類似の名称として,1970年代にかつての技術者学校などが大学に昇格した専門大学(Fachhochschule)がある。
著者: 木戸裕

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の工科大学の言及

【工学】より

…このような動きには,1856年ドイツ技師協会Verein Deutscher Ingenieureを結成するなどして,ドイツの急速な工業化の担い手としての自覚を強めつつあった技術者集団からの働きかけもあずかって力があった。かくて,70年代以降,各地の技術学校は,工科大学Technische Hochschuleへと昇格し,99年には学位授与権を獲得して実質的には大学と同等となった。このような事態の背景には,技術学校―工科大学における教育・研究がエコール・ポリテクニクの近代工学理念の浸透にともなって,高度化ないし科学化した(すなわち〈工学の科学化〉)という事情がある。…

※「工科大学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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