日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴル」の意味・わかりやすい解説
ゴル
ごる
Yvan Goll
(1891―1950)
アルザス・ロレーヌ生まれのユダヤ系の詩人。国籍はドイツ。その出自にふさわしく、作品は、時期によって、それぞれドイツ表現主義、フランス・シュルレアリスム、ユダヤ神秘思想の影響が認められる。各地を転々とし、さまざまな流派にかかわりつつ、ドイツ語、フランス語、さらには英語をも駆使して詩を書き継いでいく、そうした自己同一性の希薄さが、逆説的にその個性を形づくるとともに、マイナー・ポエットたらざるをえない理由ともなっている。作品には、長詩『パナマ運河』(1921)、戯曲『メトゥーザレム』(1922)、詩集『エッフェル塔』(1924)、小説『欧球菌』(1927)、詩集『夢草』(1951)などがある。
[平野嘉彦]