日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴロブリョフ家の人々」の意味・わかりやすい解説
ゴロブリョフ家の人々
ごろぶりょふけのひとびと
Господа Головлёвы/Gospoda Golovlyovï
ロシアの作家サルティコフ・シチェドリンの長編小説。1880年刊。無能な当主ウラジーミル、浪費家の長男ステパン、吸血鬼といわれる次男ポルフィーリー、酒乱の三男パーウェル、駆け落ちする長女アンナ、こうした強欲非道、偽善、怠惰、大酒飲み、淫蕩(いんとう)など、あらゆる悪徳を備えた地主一家全員が、その報いで次々と悲惨な最期を遂げて、一家が全滅する過程を描いた作品。登場人物は、自然主義的な、リアルな客観描写法で描かれ、全編に慄然(りつぜん)たる陰惨な雰囲気と鬼気がみなぎる。
[島田 陽]
『湯浅芳子訳『ゴロヴリョフ家の人々』全2冊(岩波文庫)』