デジタル大辞泉
「一家」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いっ‐か【一家】
- 〘 名詞 〙
- ① 一つの家。一軒。いっけ。
- [初出の実例]「一家有レ薬、一里無レ病」(出典:延喜式(927)三七)
- [その他の文献]〔淮南子‐説林訓〕
- ② 一家族。一門。また、家族全体、一門すべて。いっけ。
- [初出の実例]「万里青雲双脚下、一家栄耀孔懐中」(出典:本朝麗藻(1010か)下・感勘解藤相公賢郎茂才蒙課試之綸旨聊呈鄙懐〈源孝道〉)
- 「吉田屋の一家袖をぞぬらしける」(出典:浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上)
- [その他の文献]〔礼記‐礼運〕
- ③ 学問、芸術、技術などの独立した一流派。独自の一派。また、一方の権威。独自の存在。独特の一つの風格を持つもの。
- [初出の実例]「左丘明が文章でこそあれ、司馬遷が一家の事ではあらばやぢやほどに」(出典:史記抄(1476‐80)一〇)
- [その他の文献]〔晉書‐荀崧伝〕
- ④ ばくちうちなどの親分と、その杯を受けた子分とでつくる特殊な団体。
いっ‐け【一家】
- 〘 名詞 〙
- ① =いっか(一家)①
- [初出の実例]「モロモロノヂシポロ イッケニアツマリ イラレケルニ」(出典:バレト写本(1591))
- ② =いっか(一家)②
- [初出の実例]「カノ キヨモリ ノ go(ゴ) icqe(イッケ) ノ ヒトビト ト サエ イエバ」(出典:天草本平家(1592)一・一)
- 「義康一家(イッケ)の好(よしみ)を忘れず」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)後)
- ③ その家に住んでいる者。また、その家にあるもののすべて。家中。一家中。
- [初出の実例]「ycqeno(イッケノ) ザイホウヲ コトゴトク マイナイニ シンジョウズ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
ひとつ‐や【一家】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 人里はなれた山野などにぽつんと一軒だけある家。一軒家。ひとついえ。
- [初出の実例]「壱つ屋も月影にもつ隣哉〈作者不知〉」(出典:俳諧・伊勢正直集(1662)五)
- ② 同一の家。同じ家。ひとついえ。
- [初出の実例]「一家に遊女もねたり萩と月」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)市振)
- [ 2 ]
- [ 一 ] 武蔵国浅茅原(あさじがはら)にあったという一軒屋。一人の老婆が住み、旅人を泊めては殺していたが、観音の力によって悔悟したという伝説がある。
- [ 二 ] ( 一つ家 ) 歌舞伎脚本。時代物。一幕。河竹黙阿彌作。明治二三年(一八九〇)東京市村座初演。[ 一 ]の劇化。新古演劇十種の一つ。
ひとつ‐いえ‥いへ【一家】
- 〘 名詞 〙
- ① 一戸の家。
- [初出の実例]「なかがきこそあれ、ひとついへのやうなれば」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一六日)
- ② =ひとつや(一家)[ 一 ]①
- [初出の実例]「春の夜の夢のみたまとわが魂(たま)と逢ふ家らしき野のひとつ家(イヘ)」(出典:舞姫(1906)〈与謝野晶子〉)
- ③ =ひとつや(一家)[ 一 ]②
ひと‐いえ‥いへ【一家】
- 〘 名詞 〙 家中。一家全部。
- [初出の実例]「いかにいかにとひといゑおぼし歎く程に、天祿三年十一月の一日かくれ給ぬ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)花山たづぬる中納言)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の一家の言及
【家】より
…その結果が明治以降の天皇制家族国家の確立である。天皇家を総本家とする一国一家の挙国体制であった。国家という権力機構が骨肉の愛情関係をよそおう。…
【氏族】より
…日本中世の族縁呼称の一つであるが,史料の上では,[一族],一家,一流などと混用されている場合が多く,はっきりした区別はまだつけられていない。しかし,一族,一家という族縁呼称がある一定の所領を共同知行し,その土地の地名をもってみずからの〈名字〉としている〈名字族〉という性格をもつのに対して,これら名字族がもとをただせば,藤原氏あるいは橘氏,大伴氏であるなどといわれる場合の側面を表現したものこそ,この氏族という呼称の本来のあり方だと考えるべきである。…
※「一家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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