日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴンベ」の意味・わかりやすい解説
ゴンベ
ごんべ / 権兵衛
hawkfish
硬骨魚綱スズキ目ゴンベ科の海水魚の総称。太平洋からインド洋の暖海水深30メートル以浅に生息し、日本では中部以南からウイゴンベ、イソゴンベ、オキゴンベ、クダゴンベ、メガネゴンベなど14種が知られている。全長30センチメートルを超えるものもあるが、多くは10センチメートル前後の小魚である。体は側扁(そくへん)し、口が小さくて多少とがるが、クダゴンベでは管状に伸びる。第1背びれには10本の棘(とげ)があり、その先端に1本から数本の糸状皮弁があるものが多い。胸びれ軟条のうち、下部の数本が長くて肥厚するのが著しい特徴である。普通、岩礁やサンゴ礁の底にすみ、肥厚した胸びれ鰭条(きじょう)で体を支える。小さな種類は岩場の割れ目やサンゴ類、ヤギ類の群体の間にすむが、波の荒いサンゴ礁の外縁部に生息するものもある。肉食性。食用としてはほとんど利用しないが、背びれの皮弁が美しく、観賞魚として人気が高い。
[落合 明・尼岡邦夫]