サアディアベンヨセフ(その他表記)Saadia Ben Joseph

改訂新版 世界大百科事典 「サアディアベンヨセフ」の意味・わかりやすい解説

サアディア・ベン・ヨセフ
Saadia Ben Joseph
生没年:882-942

バビロニアのユダヤ教徒の指導者で,当代随一の学者著述家エジプトのファイユーム出身でファイユーミーともよばれた。成人して東方世界に移り,のちにその深い学識のゆえにスーラアカデミーの長に選ばれる。著書は数多いが,とりわけアラビア語で書かれた《信仰臆見の書》は有名である。ムータジラ派的傾向の強いこの神学者は,聖書哲学和解を模索した中世で最初の思想家として高い評価をうけている。ヘブライ語文法学者としても重要な著作を残している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のサアディアベンヨセフの言及

【ユダヤ哲学】より

…しかし,ギリシア思想の場合と異なり,ユダヤ教もイスラム教も同一の聖書から出発した同根の思想であるがゆえに,ユダヤ人はイスラム哲学を容易に受け入れたばかりでなく,さらにその方法を用いてユダヤ教を哲学的に基礎づけることを学んだ。その最初の哲学者がサアディア・ベン・ヨセフである。彼はユダヤ教の正統派の立場から,〈タルムード〉を否定し,聖書の原典に帰ろうとする聖書主義の運動を批判するとともに,さらに進んで神の創造性,単一性,および義などユダヤ教の根本問題の哲学的解明を試みている。…

※「サアディアベンヨセフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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