キュクロプス(英語表記)Kyklops

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キュクロプス」の意味・わかりやすい解説

キュクロプス
Kyklops

ギリシア神話の一眼巨人。額のまんなかにただ1つの目をもつ。ヘシオドスによれば,ウラノスガイアの交わりから生れた3人兄弟で,百手巨人ヘカトンケイルたちとともに,父により地下に押込められ,クロノスによっていったんは解放されたが,またもとの場所に戻され,ゼウスによって最終的に解放された。このことを感謝して彼のために雷と稲光をつくって与えて,オリュンポスの神々がティタンたちとの戦いで勝利するのに貢献した。このとき彼らは,ポセイドンみつまたほこハデスの隠し身の兜もつくったともいわれる。後代の神話では,彼らは鍛冶の神ヘファイストスの助手として,火山の噴火口の中にあるこの神の仕事場で働くとみなされている。ホメロスの『オデュッセイア』に出てくるキュクロプスたちは,これらの鍛冶の名手たちとは異なり,ナポリに近いイタリアの海岸で羊を飼って暮している,文化とまったく無縁な凶暴で野蛮な存在で,オデュッセウスは,その1人のポリュフェモスを盲目にしたために,この怪物の父である海神ポセイドンの怒りを買い,長い間この神に帰国を妨害されるはめに陥ったとされる。

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