日本大百科全書(ニッポニカ) 「サプカイア」の意味・わかりやすい解説
サプカイア
さぷかいあ
sapucaia
サガリバナ科(APG分類:サガリバナ科)Lecythis属の数種の果樹の総称。大木で、通常、萼(がく)は6裂し、花弁は6片、果実は堅い木質からなる蓋果(がいか)で、子房は4室である。種子は多数で、多くは脂肪分に富み、食用となる。なかでもサプカイアナットsapucaia nut/L. zabucajo Aubl.の種子は、クリーム状の甘い仁(じん)をもち、油分63%、タンパク質20%で食用として優れているほか、せっけん、灯油にも用いる。フランス領ギアナ原産。このほか、脂肪に富む種子をもち、食用となるものに、アマゾン川下流原産のパラダイスナットノキL. usitata Miers var. paraensis (Ducke.) R.Knath、ブラジル南部に産するサプカイア・ブランカL. lanceolata Poiret、ブラジル中東部に産するカサンバ・ド・マットL. pisonis Camb.などがある。本属は中南米の熱帯地方に多く、約50種あり、良材を産する種も多い。属名は、果実の形がギリシア語の油壺(あぶらつぼ)lekythosに似ることによる。
[飯塚宗夫 2021年3月22日]