日本大百科全書(ニッポニカ) 「サマッド・サイド」の意味・わかりやすい解説
サマッド・サイド
さまっどさいど
A. Samad Said
(1935― )
マレーシアの作家。マラッカで生まれ、シンガポールで育つ。学生時代から創作を試み、雑誌、新聞などに発表。病院勤務を経て新聞記者となる。詩、戯曲、童話、小説と創作の範囲は広い。外国文学に造詣(ぞうけい)深く、とくにサルトルを愛読。初期の代表作『娼婦(しょうふ)サリナ』(1961)は1958年のDBP(国立言語図書出版局)賞を受賞。これは第二次世界大戦後のシンガポールのマレー人スラムを舞台に、都市の貧困、堕落を温かい視点で描いた作品で、同国で初めての国際水準に達した作品と評価される。代表作としては、詩集『燃え盛る火に』(1961)、短編集『落葉』(1962、妻と共著)、『サリナから午後の空まで』(1979)がある。1979年東南アジア文学賞、1986年国家文学賞を受賞。
[佐々木信子]
『星野龍夫訳『娼婦サリナ』(1983・勁草書房)』