サン・セルナン聖堂(読み)サン・セルナンせいどう[ツールーズ](その他表記)Saint-Sernin, Toulouse

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サン・セルナン聖堂」の意味・わかりやすい解説

サン・セルナン聖堂[ツールーズ]
サン・セルナンせいどう[ツールーズ]
Saint-Sernin, Toulouse

ツールーズにある南フランスで最も大きく美しいロマネスクの聖堂。ツールーズ最初の司教であり殉教者であったサン・セルナンの埋葬地にベネディクト会修道院聖堂として 1060年に起工され,96年に献堂,12世紀中葉に一応の完成をみた。聖地サンチアゴデコンポステラ (スペイン) への巡礼路聖堂の一つでもある。五廊式ハレンキルヘで,放射状祭室をもち,半円アーチによって支えられた筒形ボールト (穹窿) の身廊をもつ内部は特徴的である。 96年に奉納された大理石祭壇の装飾彫刻や,周歩廊壁にはめこまれている玉座のキリストを表わした大理石浮彫は,ラングドッグ地方初期ロマネスクの最も貴重な遺品である。またミエジュビールの門と呼ばれる南扉口ティンパヌムにはキリストの昇天を表わす彫刻が施されているが,これは,南フランスのロマネスク扉口彫刻の一様式を成立させる重要な原型となっている。聖堂の中心,身廊の交差部にはオジーブ・ボールトがかけられていて,その上には頂上に尖塔をもち,各階に美しいアーケードがあり,5層の八角形大鐘塔が築かれている。

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