日本大百科全書(ニッポニカ) 「サーチ・エコノミー」の意味・わかりやすい解説
サーチ・エコノミー
さーちえこのみー
search economy
デジタルコンテンツの検索および検索状況の分析・活用が、さまざまな経済的な価値を生み出すという考え方。デジタル化される以前は、情報検索が経済的な価値につながっていなかったことから、デジタル社会での変革の大きなシンボルとしてとらえられることが多い。
具体的には、Google(グーグル)などの検索サイト(検索エンジン)を使って情報を検索した場合、検索結果とともに、その検索語と関連する広告「検索キーワード連動型広告」が表示される。これは消費者の関心のターゲットを絞った広告展開が可能になることだが、逆にいえば検索結果の表示ページに経済的な価値が発生しているということになる。
また、検索結果の表示順序についても、「そのページへのより多くの外部リンクがあること=参照が多い=信頼性が高い」という理論により、コンテンツへの事実上の価値評価を行っている(GoogleにはページランクPageRankという、リンク構造を解析しウェブページのリンクの量や質などを判断する評価システムがある)。マーケティング的な観点からみると、競合他社よりできるだけ上位に掲載されることは消費者への強いアピールになるということから、検索結果の表示順位には経済的な価値が発生しているといえる。
さらに、企業内においても売上管理データ、顧客データ、商品データなどさまざまな定型データ、非定型データを自在に検索し、それらの情報を関連づけること、さらには各従業員の知識を共有し、新たな気づきや分析が行えるようになることで、企業の経済的な価値が向上するという考え方もある。
これらのようにデジタル情報を生産し、検索可能にすることは、新しい経済価値の創出を行う経済活動ということができる。
[中島由弘]
『シャリ・スロウ著、深沢幸一郎、ワサビ・コミュニケーションズ監修『SEMサーチエンジンマーケティング』(2003・エムディエヌコーポレーション)』▽『ジョン・バッテル著、中谷和男訳『ザ・サーチ――グーグルが世界を変えた』(2005・日経BP社、日経BP出版センター発売)』▽『佐藤光紀著『Web2.0時代のインターネット広告――そのしくみから導入まで』(2006・日本経済新聞社)』▽『権成俊・李泰成著『「キーワード有効度調査」からはじめるSEM戦略』(2007・アスキー)』