改訂新版 世界大百科事典 「ザリガニミミズ」の意味・わかりやすい解説
ザリガニミミズ
Stephanodrilus sapporensis
貧毛綱ヒルミミズ科の環形動物。北海道に産するザリガニの体表に吸盤で付着して生活するところからこの名がある。体長9~12mm,体幅2~3mmの円柱形で頭部と胴部に区別される。体は白色に淡い黄褐色を帯び,頭部,10大環節と9小環節とからなり,最後端は皿状の吸盤になっている。剛毛はまったくない。頭部の前端にある口の周囲には16個の小突起があり,その外側には13個の指状突起をもった背唇(はいしん)があって,ここで他物に吸着しながら後端の吸盤とともにヒルに似た運動をする。また口腔内には2個の同大のキチン質の顎板(がくばん)がある。雌雄同体で第6大環節の腹面中央線上に1個の雄性孔が開いている。産み出した卵包をザリガニの体表や遊泳脚につける。泥中の有機物を食べている。
ザリガニの体に付着するヒルミミズ類は日本に20種ほどおり,なかには体長2~3mmほどの小型のものもいる。ヒルミミズ類を採集するには,ザリガニを10%ホルマリン液に入れるとヒルミミズ類がザリガニから離れて底に沈むので,それを集めるとよい。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報