アメリカザリガニ(読み)あめりかざりがに(英語表記)Clark's crayfish

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アメリカザリガニ」の意味・わかりやすい解説

アメリカザリガニ
Procambarus clarkii; red swamp crayfish

軟甲綱十脚目アメリカザリガニ科。アメリカ合衆国ルイジアナ州周辺を原産地とする淡水産のエビで,日本には 1927年にウシガエルの餌として初めて神奈川県に移入され,その後本州,四国,九州全県に広まった。体長 15cmに達し,各地でエビガニ,あるいは単にザリガニと呼ばれている。日本ではあまり食用としないが,原産地では養殖も行なわれ,中国やアフリカ東部には食用目的で移入された。アフリカでは大繁殖し,生態系への悪影響が懸念されている。6月頃脱皮交尾に続いて 400粒ほどを産卵する。卵は長径約 2mmで,約 1ヵ月後に 4.5~5mmの成体形で孵化する。満 1年で平均 9回の脱皮を繰り返して 4.5~5cmとなり,1年半後には約 6cmになって性的に成熟する。水田あぜなどに深い穴を掘ってすみ,小魚,ミミズ,イモリなどを好んで捕食する。また植物の新芽なども食害し,稲作にも害を与える。日本では生態系に被害を及ぼすおそれのある外来種(→外来生物)とされており,積極的な防除が推奨されている。(→甲殻類十脚類節足動物軟甲類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカザリガニ」の意味・わかりやすい解説

アメリカザリガニ
あめりかざりがに
Clark's crayfish
[学] Procambarus clarkii

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目ザリガニ科に属するエビ。アメリカ原産であるが、現在では北海道を除く日本各地に広まっており、ペット愛玩動物(あいがんどうぶつ))として子供に人気がある。日本ではほとんど食用にしないが、アメリカでは食用とし養殖も行われている。

[武田正倫]

 アメリカザリガニは生態系被害防止外来種にあげられているが、すでに大量に飼育されており(約65万世帯で約540万匹)、防除の対象となる特定外来生物に指定するとかえって不法投棄を招き、生態系への被害が拡大するおそれがある。そのため、2022年(令和4)の改正外来生物法では、アメリカザリガニの輸入、販売、放出を規制するのみになっている。

[編集部 2022年11月17日]


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