日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェレンテ」の意味・わかりやすい解説
シェレンテ
しぇれんて
Sherente
ブラジル、トカンティンス州の先住民集団。アマゾン川の支流、トカンティンス川の東岸にあるトカンティニアの町近くのシェレンテ先住民区とフニル先住民区に住む。人口は1552人(1994)。言語はジェ語族に属する。シェレンテはシャバンテとともに中央ジェとよばれ、両者間には強い類縁関係がみられ、もともと同一のグループだったものの一部が分かれて移動した結果、現在では二つの先住民グループとなっていると思われる。出自は父系で妻方居住である。村落は家が弧状に配列されている。文化の変容が進んでおり、現在ではほとんどの者がポルトガル語を話すが、彼らの間ではいまだに固有のシェレンテ語を話し、古くからの習慣をある程度保っている。生業は近くに住むブラジル人とほとんど変わらず、簡単な道具を用いた焼畑耕作が中心である。カトリック、プロテスタントのキリスト教伝道所およびブラジル政府の出先機関と接触を続けている。現在もっとも大きな問題は、周辺ブラジル人との間の土地・家畜をめぐる争いである。
[木村秀雄]