シャバンテ(読み)しゃばんて(その他表記)Shavante

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャバンテ」の意味・わかりやすい解説

シャバンテ
しゃばんて
Shavante

ブラジル、マト・グロッソ州の先住民集団。アマゾン川の支流アラガイア川西側のピメンタル・バルボサ先住民区、サン・マルコス先住民区など九つの先住民区に分かれて住む。人口は約7100(1994)。言語はジェ語族に属する。シェレンテとともに中央ジェとよばれる。両者は18世紀の終わりまで一つのグループであり、19世紀に西方に移住したグループがシャバンテ、トカンティンス川東岸に残ったグループがシェレンテとなったと考えられている。シャバンテは白人侵入に強く抵抗した勇猛な先住民としてブラジル人の間で有名であり、平和な接触は1950年代前半まで成功しなかった。その後はブラジル政府の出先機関やキリスト教伝道所との接触によって文化・社会が激しく変容してきており、ポルトガル語が普及し、町を訪れる者も現れてきた。最近ではシャバンテ出身の国会議員も現れたほどである。とはいえ、ジェ諸集団のうちで、古来の伝統をもっともよく保っている集団の一つであることに間違いはない。家を広場の周囲に弧状に配列した村に住むが、1年のうちの何か月かは数グループに分かれて村を離れ、採集狩猟の旅に出かける。焼畑耕作も行うが、あまり熱意を示さず、農作物はまだそれほど重要な食料とはなっていない。出自父系で、三つのクラン祖先を同じくする者の集団。氏族)が存在し、妻方居住である。村は1人のリーダーが治める。村落どうしは通常敵対しており、村落内部でもクランどうしの抗争が起こることがある。明確な年齢階梯(かいてい)制があり、一つ置きの年齢組が連合して全体が二つの組に組織されている。

木村秀雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「シャバンテ」の意味・わかりやすい解説

シャバンテ
Shavante

ブラジル西部,マト・グロッソ州の先住民部族。人口約7000(1994)。アマゾン川の支流アラグアイア川の西岸に住み,言語はジェ語族に属する。焼畑耕作,野生植物の採集,狩猟,漁労が生業で,恒久的な村落を営むが,乾季にはいくつかのグループに分かれて採集旅行に出る。村は三日月形で,中央に大きな広場がある。三つの外婚父系クラン(氏族)に分かれており,はっきりとした年齢階梯制をもつ。成人式を済ませた男たちは集団で結婚し,妻の家に入る。各村はひとりの首長によって治められ,村同士は潜在的な敵対関係にある。かつては野蛮なインディオとして非常に恐れられたが,1950年代の初めからブラジル人との平和な接触を始めた。キリスト教宣教所や国立インディオ局の出張所の近くに住んでいる。シャバンテの領域には近年,牧場や農場が入り込み,摩擦,衝突がふえている。
ジェ
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世界大百科事典(旧版)内のシャバンテの言及

【ジェ】より

…ジェ語族と分類されている言語を話す部族の総称で,北,南,中央の三つに大きく分けられる。北にはカヤポ,スヤ,アピナイェなど,中央にはシャバンテ,シェレンテ,南にはカインガン,ショクレンが含まれている。また,マト・グロッソ州のボロロもジェと近縁である。…

※「シャバンテ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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