シキミモドキ(その他表記)pepper tree
Tasmannia piperita (Hook.f.) Miers

改訂新版 世界大百科事典 「シキミモドキ」の意味・わかりやすい解説

シキミモドキ
pepper tree
Tasmannia piperita (Hook.f.) Miers

最も原始的な被子植物とされることの多い東南アジア熱帯高地のモクレン目シキミモドキ科の植物。高さ1~5mの常緑木本植物。つぼみはカリプトラという帽子状に変形した萼におおわれている。心皮は1枚の葉が中肋を折り目に内側に畳まれた状態を示し,めしべの最も原始的な状態を示すとの説がある。モクレン目のデゲネリアとは違っておしべは比較的細い。

 モクレン目は一般に植物体に精油を含み,材を傷つけたり葉をもむと香ったり,花に強い芳香がある。本種の英名もそこからきており,カリマンタン原住民は狩猟犬に本種を興奮剤として食べさせる。シキミモドキ属Tasmanniaは以前南アメリカに分布するドリミス属Drimysに含められることが多かったため,ドリミスの和名が使われることもある。

被子植物の材は,通常は道管を有するが,例外的にシダ・裸子植物に見られる仮道管しかもたないものがあり,本種を含むシキミモドキ科は全種仮道管しかもたないので,原始的とされる。北半球に分布するモクレン科とは対照的に,南半球型分布をしており,オセアニア,東南アジア南部,南アメリカ,マダガスカルに分布する。8属120種を含む。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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