日本大百科全書(ニッポニカ) 「シッフの試薬」の意味・わかりやすい解説
シッフの試薬
しっふのしやく
Schiff's reagent
ドイツの有機化学者シッフHugo Schiff(1834―1915)によって発明されたアルデヒドの検出試薬で、フクシンアルデヒド指薬ともいう。フクシン(またはマゼンタともいう)のカルビノール塩基であるローズアニリン(またはローザニリン)とよばれる赤紫色の塩基性染料の水溶液に二酸化硫黄(いおう)を通じて脱色したものである。この試薬をアルデヒドに加えると室温で反応して溶液は赤紫色を呈する。アルデヒドに対する鋭敏な呈色試薬で、ケトンではこの反応がおこらないので、アルデヒドとケトンの判別に用いられる。アルデヒドのなかでも、ある種の芳香族ヒドロキシアルデヒド(オキシアルデヒド)などはこの試薬と呈色しない。
[成澤芳男]
『日本分析化学会編『分析化学便覧』改訂3版(1981・丸善)』▽『大木道則他編『化学大辞典』(1989・東京化学同人)』