亜硫酸(読み)ありゅうさん(英語表記)sulfurous acid

翻訳|sulfurous acid

日本大百科全書(ニッポニカ)「亜硫酸」の解説

亜硫酸
ありゅうさん
sulfurous acid

二酸化硫黄(いおう)の水溶液中に生成していると考えられる二塩基酸。普通H2SO3で表す。しかし実際にはH2SO3の生成は認められず、二硫黄の水和物SO2nH2Oであり、
  SO2nH2O―→HSO3-+H3O++(n-2)H2O
とするのがよい。亜硫酸溶液を蒸発しても遊離の酸は得られない。それは、溶けていた二酸化硫黄が蒸発の際、気体(二酸化硫黄)となって逃げていくからである。酸性は弱く、強酸により二酸化硫黄を発生する。強い還元剤として働き、酸素、ハロゲン、過酸化水素によって酸化され、硫酸となる。また、還元作用よりは弱いが、酸化剤として働くことがあり、自身は硫黄となる。還元剤のほか漂白剤としても用いられる。大気中に放出された二酸化硫黄は浮遊する水分と結合して亜硫酸を生成し、光化学反応などによって硫酸となり、大気汚染の原因となっている。

[守永健一・中原勝儼]

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化学辞典 第2版「亜硫酸」の解説

亜硫酸
アリュウサン
sulfurous acid

H2SO3(82.08).二酸化硫黄の水溶液中に存在が仮定されている酸.実際は水和したSO2のみが存在し,H2SO3は単離されていない.水溶液中では,

SO2・2H2O HSO3 + H3O

HSO3 + H2O SO32- + H3O

平衡が存在する.K1 1.4×10-2K2 6.5×10-8.多くの安定な中性塩,酸性塩,およびエステルが得られている.モノエステルは不安定であるが,ジエステルOS(OR)2(たとえば,亜硫酸ジメチル)は安定で,スルホン酸エステルRS(O2)ORの異性体である.一般に還元剤として反応し,硫酸に酸化される.ただし,H2Sでは,硫黄に還元される.漂白に利用される.[CAS 7782-99-2]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「亜硫酸」の解説

亜硫酸
ありゅうさん
sulfurous acid

化学式 H2SO3 。二酸化硫黄を水に溶かすと得られ,水溶液としてのみ存在する化合物

SO2O⇔H2SO3

中程度の強さの酸である。低温で濃縮すると SO2・7H2O が得られる。強い還元作用を示し,みずからは硫酸となる。弱い酸化作用をも示し,自身は硫黄となる。酸性雨の原因物質の1つ。

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百科事典マイペディア「亜硫酸」の解説

亜硫酸【ありゅうさん】

化学式はH2SO3。水溶液としてのみ知られ,二酸化硫黄SO2を水に溶かすと得られる。無色弱酸であたためるか,強酸(硫酸など)を加えるとSO2を発生する。強い還元剤であり,酸化されて硫酸となる。酸化作用も示し,自らは分解して硫黄となる。

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精選版 日本国語大辞典「亜硫酸」の解説

あ‐りゅうさん ‥リウサン【亜硫酸】

〘名〙 硫黄の酸素酸の一つ。化学式 H2SO3 二酸化硫黄を水に溶かすと得られ、水溶液としてのみ存在。酸素と化合して硫酸となり、還元剤、漂白剤として用いられる。〔舎密開宗(1837‐47)〕

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世界大百科事典 第2版「亜硫酸」の解説

ありゅうさん【亜硫酸 sulfurous acid】

化学式H2SO3。水溶液としてのみ知られ,遊離の酸としては取り出すことはできない。二酸化硫黄SO2ガス(亜硫酸ガス)を水冷または氷冷下で水に通じて得られる。市販試薬の亜硫酸水は,SO2含有量を6.0%以上とすることがJISに規定されている。無色透明の水溶液で刺激臭をもつ。酸性を呈する。二塩基酸で,酸解離指数pK1=1.76,pK2=7.19(25℃)。SO2含有量が23.7%(重量)以上の水溶液では12.1℃以上で2液相に分離する。

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