日本大百科全書(ニッポニカ) 「シバリス」の意味・わかりやすい解説
シバリス
しばりす
Sybaris
イタリア南部、タレントゥム(タラント)湾岸に位置した古代のギリシア植民都市。紀元前720年ごろアカイア人とトロイゼン人によって建設された。肥沃(ひよく)な後背地を抱え、エトルリア、ミレトスとの交易を独占的に行って前6世紀には無類の繁栄を遂げ、南イタリアのラウス、スキドラス、ポシドニア(パエストゥム)などに植民団を送り出した。前510年、内訌(ないこう)が生じ、難を逃れた市民はクロトンに亡命。その亡命者らの扱いをめぐって、クロトンと戦争状態に陥ったが、敗れて徹底的な破壊を受けた。前453年生き延びた人々によって再建が計られたが失敗。前443年彼らはアテネが破壊された跡地をトゥリオイThuriiとして再植民した事業に加わったが、建設直後そこを追われた。のち、彼らが建てたトライス河岸の新シバリス市はほとんど重要性をもたなかった。
[古川堅治]