日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロトン」の意味・わかりやすい解説
クロトン(イタリア)
くろとん
Croton
イタリア南部、タラント湾(古称タレントゥム湾)西岸に位置した古代のギリシア植民都市。クロトナCrotonaともいう。現在のカラブリア州クロトーネ県クロトーネCrotoneにあたる。紀元前710年ごろアカイア人によって建設された。すぐに繁栄を迎え、南イタリアの諸都市テリナ、カウロニアに植民を行い、ラメティウム、スキラキウムなどを従えた。前6世紀にはピタゴラスが教団を設立し、以後彼らは前450年ごろまで貴族政的色彩の強い政治体制を敷いた。有名な体育競技者ミロンMilonはこの地の出身で、彼は前510年のシバリスとの戦いで軍を率い、市を勝利に導いた。クロトン市はサラミスの海戦では1隻の艦船を提供したが、その後ロクリスとレギウムとの争いに敗れて衰退し始めた。前379年ディオニシオス1世に征服され、ピロス、ハンニバルとローマとの戦争によって壊滅的打撃を受けた。前194年ローマ人による再植民がなされたが成功しなかった。現在のクロトーネは人口5万1182(2001国勢調査速報値)。カラブリアの主要な港湾・工業都市で、城と大聖堂が残る。
[古川堅治]
クロトン(植物)
くろとん
croton
[学] Codiaeum
トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の植物で、葉の色彩と模様が変化に富み、ヘンヨウボク(変葉木)の和名もある。マレーシアから太平洋諸島、オーストラリア北部にかけて15種ほど分布し、このうちのバリエーガタムC. variegatum Bl. が普及し、熱帯各地で庭木や生け垣などに使われている。常緑の低木で、葉は互生してつき、葉形は広葉、細葉、長葉、螺旋(らせん)葉など変化があり、色も豊富である。代表的な品種にはアケボノ、ハーベストムーン、インディアンブランケット、リュウセイ、トビハなどがある。栽培は夏の間を除き温室か室内に入れ、日によく当て15℃以上を保つ。繁殖は挿木か取木で、6~7月がよい。
[坂梨一郎 2020年6月23日]