日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラウス」の意味・わかりやすい解説
ラウス
らうす
Peyton Rous
(1879―1970)
アメリカの病理学者。メリーランド州ボルティモアに生まれ、ジョンズ・ホプキンズ大学で医学を学ぶ。1906~1908年ミシガン大学の病理学講師、1909年よりロックフェラー研究所(現、ロックフェラー大学)に属し、晩年に至るまでここを研究の場とした。彼の名を不朽にしたのは、ラウス肉腫(にくしゅ)ウイルスの発見(1910、1911)である。ニワトリの腫瘍(しゅよう)からつくった無細胞濾液(ろえき)の接種によって健康なニワトリに腫瘍が発生することを示したもので、今日の癌(がん)ウイルス研究の先駆けになった。この仕事は1966年ノーベル医学生理学賞によって報いられた。
[梶田 昭]