日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマトビケラ」の意味・わかりやすい解説
シマトビケラ
しまとびけら / 縞飛螻
縞石蚕
hydropsychid caddis
昆虫綱トビケラ目シマトビケラ科の昆虫の総称、またはそのなかの1属の総称。世界中に広く分布し、日本には約20種が生息する。翅長(しちょう)10ミリメートル前後の中形のトビケラで、前翅は褐色の種類が多く、外見上からの種の区別は困難である。翅長約15ミリメートルのオオシマトビケラMacronema radiatumは、黄色の地に黒色帯の明瞭(めいりょう)な斑紋(はんもん)が前翅にある大形種であり、河川の中・下流域で大発生することがある。
シマトビケラ科の幼虫は、腹部に房状のえらをもつ。トンネル状の巣を石面に固着させ、その上流側に網を張り、水中を流れてくる餌(えさ)をとる。網目は長方形で、大きさは種類や齢期によってさまざまである。雑食性。おもに流水に分布し、河川の源流から下流まで多数の種がすみ分ける。水力発電用導水路に幼虫の巣が大量に付着すると、通水が阻害されるため、発電害虫とされる。また、成虫が大発生すると、人家の灯火にも飛来し、害虫視される。
[谷田一三]