シミュレーション天文学(読み)しみゅれーしょんてんもんがく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シミュレーション天文学」の意味・わかりやすい解説

シミュレーション天文学
しみゅれーしょんてんもんがく

コンピュータ内でのシミュレーションにより、天文学の諸問題を考察する学問。天文学における観測、理論に次ぐ第三の研究手法である。宇宙の大規模構造や太陽系の形成過程などをシミュレーションして再現し、観測と理論の検証を図る。ニュートン力学では3体以上の多体問題は解析的に解けず、摂動法などを使い数値的に軌道を計算していた。しかしコンピュータの性能向上に伴い、複数のパソコンをつなげて多数の天体重力を計算する天文シミュレーション用システム(GRAPE:Gravity Pipe)が開発された。その流れを受け、スーパーコンピュータを使い、流体力学磁気流体力学、そして重力場の効果も取り入れるシミュレーションに進化している。シミュレーション対象は銀河衝突中性子星やブラックホールによる宇宙ジェット(天体から噴出するプラズマガスの流れ)や降着円盤の生成成長過程、恒星の進化、超新星爆発、ダークマター分布など多岐にわたっている。

[山本将史 2022年2月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android