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中性子星 ちゅうせいしせいneutron star

翻訳|neutron star

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

中性子星
ちゅうせいしせい
neutron star

中性子からできている星。その存在可能性について天文学者フリッツ・ツウィッキーおよびウォルター・バーデが 1934年に議論した。ジョン・ロバート・オッペンハイマーやレフ・ランダウらはその構造を理論的に論じたが,中性子星が現実に存在するかどうかは長い間疑問であった。しかし,1967年アントニー・ヒューウィッシュが周期 1.3秒ほどで点滅する電波源パルサーを発見,これが高速で自転する中性子星であることが明らかになり,存在が確認された。かに星雲中の中性子星は周期 0.033秒で,電波のほかに X線や可視光でも点滅が観測される。中性子星の直径は 14kmしかないが太陽ほどの質量をもち,平均密度は 1.4×1015g/cm3もある。太陽の 3.5~10倍までの質量をもった星は進化の最終段階で超新星爆発を起こし,その質量の大部分を吹き飛ばしてしまうが,中心には中性子星が残る。中性子星は高速で自転しており,また強い磁場をもっている。自転軸と磁軸がずれていると(地球の場合と同じ)自転に伴い磁極から電子が放出され,強い X線,可視光,電波を出すと考えられている。エネルギーを放出するために,その自転周期はしだいに遅くなっていくが,中性子星内部で結晶化した中性子の構造に変化が起こり,突然周期がわずかに短くなる星震現象も観測される。超新星爆発後に取り残される星の質量がさらに大きいと重力によってつぶれ,ブラックホールになる。

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知恵蔵の解説

中性子星

太陽質量の約8〜30倍の質量を持つ星が超新星爆発を起こした後に残る星のコアで、中性子の縮退圧で重力による崩壊を防いでいる星。質量は太陽質量のほぼ1.4倍だが、半径は10km程度しかない。従って、内部は極めて高密度(10億t/立方センチ)。高速で自転しているため、表面磁場は非常に強く、1億T(テスラ)もある。

(谷口義明 愛媛大学宇宙進化研究センターセンター長 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

中性子星

原子核を構成する基本粒子の「中性子」がぎっしり詰まった天体。質量が大きい恒星が一生を終える際、原子が強く圧縮されてできる。理論的には、茶さじ1杯分の質量が10億トン程度になっている。中性子星よりさらに質量が大きい天体は、光さえも外に出られないブラックホールとされる。

(2017-10-17 朝日新聞 朝刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

ちゅうせいし‐せい【中性子星】

ほとんど中性子だけからなる超高密度の星。半径は10キロ程度、質量は太陽の1~2倍で、密度は1立方センチあたり10億トンにもなる。1967年に発見されたパルサーが中性子星で超新星爆発の残骸であることがわかった。

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百科事典マイペディアの解説

中性子星【ちゅうせいしせい】

恒星が進化の終末に到達する中性子物質からなる超高密度の星。存在は1930年代に理論的に予想され,超新星爆発の残骸として中性子星の誕生する考えが提案された。さらに1967年パルサーが発見され,パルサーのモデルとして自転する磁場をもった中性子星が考えられた。
→関連項目重力崩壊中性子超新星

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デジタル大辞泉プラスの解説

中性子星

米国の作家ラリー・ニーヴンのSF短編集(1968)。原題《Neutron Star》。表題作はヒューゴー賞受賞(1967)。

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世界大百科事典 第2版の解説

ちゅうせいしせい【中性子星 neutron star】

恒星がその進化の終末に到達する中性子物質からなる超高密度の星。中性子星の存在は,すでに1930年代にL.D.ランダウ,J.R.オッペンハイマーらにより理論的に予言されていた。また超新星爆発の際に中性子星が残骸としてできるとする考えを,W.バーデとツビッキーF.Zwickyが提案している。しかし,その後30年間中性子星は直接観測されず,幻の星であった。ところが,67年に秒単位の周期的電波のパルスを出すパルサーpulsarが発見され,パルサーのモデルとして自転する磁場をもった中性子星が提案された。

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大辞林 第三版の解説

ちゅうせいしせい【中性子星】

ほとんど中性子からなる星。直径は10キロメートル 程度、1立方センチメートルの質量は一千万トン以上になる。超新星の爆発により大質量星の中心が圧縮されて生じたと考えられる。 → パルサー

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中性子星
ちゅうせいしせい
neutron star

ほとんどが中性子から構成されている天体。中性子星の概念は、1932年にチャドウィックが中性子を発見してのち、ほどなくして誕生した。星全体が一つの巨大な原子核ともみなされる超高密度の中性子星の存在の可能性は、まずランダウによって指摘された。一方、バーデとツウィッキーFritz Zwicky(1898―1974)は33年に、超新星爆発により中性子星がつくられるという考えを提唱した。一般相対性理論と中性子フェルミ気体の状態方程式を用いた中性子星の構造の研究は、39年にオッペンハイマーとウォルコフVolkoffによって発表された。
 このように中性子星の存在は理論的には早くから予言されていたが、観測的に中性子星の存在が確証されたのは、1967年にイギリスのヒューウィッシュらによって発見されたパルサーが中性子星と同定されてからである。中性子星は電波パルサーとして存在するのみならず、近接連星系に存在するときには強いX線星として観測されることが、70年代からのX線天文学の観測により明らかにされた。
 一般にフェルミ粒子からなる物質は、温度0度においても有限の圧力を示す。このために温度0Kの星が安定に存在することができる。中心密度が1立方センチメートル当り1014~1015.5グラムの星が中性子星である。中性子星の最大質量は太陽質量の1.7倍程度であることがわかる。1立方センチメートル当り109グラム以下の中心密度の星が白色矮星(わいせい)である。安定な白色矮星と中性子星の密度領域以外では一般に星は不安定になっている。
 中性子星とは、中心部がおもに中性子からなる星をいうのであって、星全体がすべて中性子からできているのではない。いちばん外側の領域は外殻とよばれ、裸の原子核からなる結晶格子の間を相対論的に縮退した電子液体が満たしている。その内側には内殻とよばれる領域があり、原子核の結晶格子と電子液体に加えて、中性子液体が存在する。さらに内側には量子液体領域があって、中性子液体、陽子液体、電子液体の3種のフェルミ液体が共存している。
 現在、電波パルサーおよびX線星としての中性子星の観測が飛躍的に進み、中性子星の物理学は定量的な実証科学の段階に入っている。[伊藤直紀]

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世界大百科事典内の中性子星の言及

【原子核】より

…質量公式そのものや分裂障壁の評価などはおおまかなものなので,詳しい数値には意味がないが,だいたいAが300をこえる寿命の長い原子核は存在しないことになる。ただし,最近の電波天文学やX線天文学の進歩によって,その存在がほぼ確実になった中性子星の内部はAが極端に大きい原子核とみなすこともでき,その性質は通常の原子核の性質と密接に結びついていると考えられている。核分裂
[殻効果と対相関効果]
 原子核の結合エネルギーをより詳しく調べると,上の質量公式にいくつかの補正が必要であることがわかる。…

【パルサー】より

…秒あるいはミリ秒の単位の短い周期で,パルス状の電波を放射する天体。パルサーは強い磁場をもった自転する中性子星であると現在では考えられている。1967年の秋,ケンブリッジ大学のA.ヒューイッシュのグループの大学院生ベル嬢は,空のある定まった方向からパルス状の電波がやってくることに気がついた。…

※「中性子星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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