日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュミーデベルク」の意味・わかりやすい解説
シュミーデベルク
しゅみーでべるく
Oswald Schmiedeberg
(1838―1921)
ドイツの薬理学者。バルト海沿岸、クールラント州のライドセンに生まれる。ドルパート大学で薬理学を学ぶ。1866年卒業。母校の教授を経て1872年ストラスブール大学教授となり、広範囲にわたる顕著な研究業績により薬理学の進歩に貢献した。とくに毒キノコの成分ムスカリンの血管拡張作用を発見、アトロピンの拮抗(きっこう)により自律神経系の生理を解明し、化学者、臨床学者の協力で治療薬を発見した。薬物代謝(解毒機構)の研究開発などに加えて『薬理学の基礎』(1883)の著は彼の薬理学者の名声を不動のものにした。世界各国から留学生が参集し、日本では京都帝国大学教授森島庫太(くらた)、東京帝国大学教授林春雄(1874―1952)が彼の指導を受けた。
[根本曽代子]