日本大百科全書(ニッポニカ) 「シューメン」の意味・わかりやすい解説
シューメン
しゅーめん
Shumen
ブルガリア北東部、シューメン県の県都。バルナの西90キロメートル、スタラ・プラニナ(バルカン)山脈の北のシューメン台地に位置する。人口10万4473(2001)。ローマ時代の要塞(ようさい)が、第一次ブルガリア帝国の時代に整備されて都市に発展し、交易も栄えた。1388年にオスマン帝国の支配下に入り、要塞は一時放棄されたが、18世紀にロシア南下の動きで要塞機能が強化され、駐屯軍の需要を満たすために銃器、皮革、繊維などの手工業も発展し、トルコ人とブルガリア人の共住も進んだ。国内最大のイスラム寺院トンブル・ジャミヤもこの時代の建物である。1848年のハンガリー独立戦争が敗北に終わると、コシュートらがここに亡命し、オーケストラなどヨーロッパの文化がもたらされた。国内初のビール工場もここに建設された。市内には、大学や歴史博物館、劇場、オーケストラがあり、文化的中心都市でもある。
[寺島憲治]