シンチレーター

化学辞典 第2版 「シンチレーター」の解説

シンチレーター
シンチレーター
scintillator

物質に放射線が入射すると,物質を構成している原子の一部が励起され,もとの状態に戻るときに余ったエネルギーを光の形で放出する.これがシンチレーションであるが,シンチレーターはこのような現象を起こさせる物質で,いろいろな種類のものが知られている.無機シンチレーターには,タリウムを活性剤として混入させたヨウ化ナトリウム単結晶NaI(Tl)が広く用いられているが,最近,密度がNaIの約2倍で,光の減衰時間がNaI(Tl)に匹敵し,活性剤の添加が必要ではなく,しかも高い原子番号をもつ,ゲルマニウム酸ビスマス(BGO)Bi4Ge3O12が登場して,高エネルギー物理・ビーム衝突実験装置や医療用などのγ,X線検出用に多用されるようになっている.これらは固体であるため密度が高く,γ線に対する効率が高い.そのほか,粉末状結晶であるが,重荷電粒子の測定に適したZnS(Ag)などがある.有機シンチレーターとしては,固体状ではアントラセンスチルベンなどがある.液体シンチレーターはテルフェニルなどをトルエンのような溶媒に溶かしたもので,放射性試料をこれに溶かし込んで用い,軟β線の有効な検出体として液体シンチレーション計数管に用いられている.そのほか,固体結晶と液体シンチレーターの中間に位置するものとしてプラスチックシンチレーターがある.[別用語参照]シンチレーション計数管

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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