日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンチレーション」の意味・わかりやすい解説
シンチレーション
しんちれーしょん
scintillation
ラテン語のscintilla(英語ではa spark)に由来し、日常語としては火花のようにぴかりと光を発する意。閃光(せんこう)。物理現象としては、(1)物体(とくに蛍光体)に放射線が衝突する際に瞬間的に強く輝く光点が観測される現象、(2)恒星のまたたき(twinkling)、(3)晴れた日に野外で遠くの物が揺らいで見えるかげろう現象、などを表す用語として使用される。(1)は1903年にエルスターとガイテル、またクルックスがそれぞれ独立に発見した。原子物理学発展の初期にはラザフォード、ガイガーがこれを使ってラジウムC(ビスマス214)から放出されたα(アルファ)粒子の数を数え、またそれに伴って流れる電流とからα粒子のもっている電荷を測定した。現在でも荷電粒子、γ(ガンマ)線、中性子線などの検出に使われている。(2)は地上で恒星を観測するときに大気の揺らぎのためにとくに地平線に近い星が激しくまたたく現象で、ニュートンの『光学』にもその記述がある。(3)も(2)と同様な原因で生ずる身近な現象である。
[石黒浩三・久我隆弘]