山川 世界史小辞典 改訂新版 「シヴァ派」の解説
シヴァ派(シヴァは)
Śaiva[サンスクリット],Shaivism[英]
ヒンドゥー教の宗派。シヴァを最高神とする。仏典に,身体に灰を塗ったり,人間のどくろを首にかける人々の集団の記述がある。主として聖典シヴァ派とパーシュパタ派に分かれる。前者は,南インドのシャイヴァシッダーンタ派とカシュミール・シヴァ派を含む。ともに教義,儀礼を説くアーガマと呼ぶ聖典群を共有する。各個人は家畜(パシュ)で,迷いの網につながれており,唯一実在の主(パティ)シヴァの恩寵で彼の力(シャクティ)が降下し解脱(げだつ)するとされた。その記述は憑依(ひょうい)を思わせる。パーシュパタ派は開祖ラクリーシャの『パーシュパタスートラ』を聖典とし,奇行などの修行をした。12世紀南インドで社会・宗教改革をめざしたリンガーヤット派もシヴァ派に属する。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報