化学辞典 第2版 の解説
ジエチルジチオカルバミン酸
ジエチルジチオカルバミンサン
diethyldithiocarbamic acid
C5H11NS2(149.3).(C2H5)2NCSSH.ジエチルジチオカルバミド酸ともいう.遊離の酸は不安定で単離されていない.ナトリウム塩,アンモニウム塩などは金属の抽出用有機試薬として分析化学上重要である.ナトリウム塩は CuⅡ,FeⅡ,FeⅢ,CoⅡ,BiⅢ,NiⅡ,UⅥなど非常に多くの陽性元素とキレートをつくって沈殿する.これらの沈殿は,いずれもクロロホルムや四塩化炭素によく溶けるので,容易に抽出・分離される.また,酸性溶液からでも安定なキレートをつくって抽出されるアンモニウム塩として,ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアンモニウム[(C2H5)2NH2]+[(C2H5)2NCSS]-が知られている.この塩はジエチルアミンのクロロホルム溶液に二硫化炭素を加えると得られる.このような分析試薬を総称してカルバマート試薬ともいう.塩類は加硫促進剤として,エステルは可塑剤として使用される.[CAS 147-84-2]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報