日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジシカ」の意味・わかりやすい解説
ジシカ
じしか
Jan Zižka
(1370ころ―1424)
フス戦争におけるボヘミアの軍事的指導者。あだ名は「盲目のジシカ」。チェコスロバキアの国民的英雄。南ボヘミア、トロツノフ出身の小貴族。退役軍人であったが、コンスタンツ公会議の決定によるフスの焚刑(ふんけい)に端を発するボヘミアの騒乱中、現役に復し、フス派の軍隊を率いて神聖ローマ帝国軍と戦った。1420年、プラハ近郊のビトコフの丘で帝国軍を敗退させたのをはじめ、彼の考案とされる荷車を利用した移動式バリケードを駆使して戦勝を重ねた。フス派内部の分裂が表面化した際、彼は政治力を発揮し、穏健なウトラキスト派を屈服させた。急進的なターボル派の信頼を勝ちえ、フス派の団結力を国の内外に示した。ペストにかかり死亡。
[稲野 強]