荷車(読み)ニグルマ

デジタル大辞泉 「荷車」の意味・読み・例文・類語

に‐ぐるま【荷車】

人・馬が引くなどして荷物運搬するための車。

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精選版 日本国語大辞典 「荷車」の意味・読み・例文・類語

に‐ぐるま【荷車】

  1. 〘 名詞 〙 荷物の運送に用いる車。人力で引くもの、牛馬などに引かせるものなどがあり、二輪四輪、まれに一輪三輪などの種類もある。力車
    1. [初出の実例]「乃ち夜険(さか)しきところを鑿(うか)ちて地道(したつみち)を為りて悉に輜車(ニクルマ)を過(や)りて奇兵(かくれたるつはもの)を疑(もう)けたり」(出典日本書紀(720)雄略八年二月(前田本訓))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「荷車」の意味・わかりやすい解説

荷車
にぐるま

荷物を運ぶ車両のこと。形態はさまざまだが、一輪車と二輪車に分けることができる。その相違点は二つあり、一つは文字どおり車輪の数の多少による構造の違いであり、いま一つは使用法の違い、すなわち原則として一輪車は押してゆくものであるのに対し、二輪車は引いてゆくものなのである。一輪車は人間が押して比較的短距離の運搬に使われるが、二輪車は牛馬に引かせることもあり、長距離の運搬にも使用された。使用地域は、二輪車は平坦(へいたん)部の広い道に限られるが、一輪車は狭い山道や農道でも使うことができる。また、一輪車には人間が乗ることは不可能だが、二輪車はそれも可能で、平安時代には乗用専用の牛車(ぎっしゃ)も作製されている。起源はともに相当古く、古代後期から中世初期ごろまでさかのぼるといわれる。一輪車は猫車(ねこぐるま)と通称されるものが代表的な例であり、二輪車は近世に開発された大八車や、近代リヤカーがよく知られたものである。

[胡桃沢勘司]

『豊田武・児玉幸多編『交通史』(『体系日本史叢書 24』1970・山川出版社)』『礒貝勇著『日本の民具』(1971・岩崎美術社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「荷車」の意味・わかりやすい解説

荷車 (にぐるま)

荷物を運ぶ車のこと。種類はさまざまだが,一輪車と二輪車に大きく分けることができる。その主要な相違点は,一つは車輪の数の多少による構造の違い,今一つは使用法の違いである。すなわち原則として一輪車は押してゆくものであるのに対し,二輪車は引いてゆくものである。一輪車は人間が押して比較的短距離の運搬に使われるが,二輪車は牛馬に引かせることもあり,相当長距離の運搬にも使用された。使用地域は,二輪車はほとんど平坦部の広い道に限られるが,一輪車は狭い山道や農道でも使うことができる。また,二輪車は人間が乗ることも可能であり,平安時代には乗用専用の牛車(ぎつしや)も作製されている。起源はともに古く,古代後期から中世初期ころまでさかのぼると言われている。一輪車はネコグルマあるいはネコと通称されるものが代表的な例であり,二輪車は近世に開発された大八車がよく知られたものである。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荷車」の意味・わかりやすい解説

荷車
にぐるま

荷物運搬用の車。人力で動かすものが多いが,奈良時代以来の奈良やその後の京都などでみられた牛車のようなものもある。日本の荷車の発達は,江戸時代以降のことで,江戸の大八車,大坂のベカ車が,その代表的なものである。大八車については,『譚海』に「車の輪木を八つ合せて造るゆゑ,大八車といふ也」とあり,また,『守貞漫稿』には「八人の力に代るの謂也。或云,大八と云もの初て製する所也」とある。これは寛文年間 (1661~73) の頃から行われ,引き手が梶を取ったものであった。一方,ベカ車は車輪に後光もなく,ただの円板を張ったもので,梶はうしろの人が取り,引き手は縄を引くだけであった。これらの荷車は,のちに大幅に改良され,明治以降の道路の整備と相まって普及したが,その後リヤカーなどに取って代られた。

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世界大百科事典(旧版)内の荷車の言及

【牛車】より


[中国]
 中国では,子牛に引かせる車を犢車(とくしや)という。先秦時代から現在まで主として荷車として利用されている。二輪車で車輪は放射状のものが多い。…

【車】より

…ローラーは,すでに先史時代から地面で大きな岩石や重い材木などの荷物を運ぶために使われていた。ところが,荷物とローラーとの摩擦を減らすために,底の平らなすべすべした荷台を荷物の下に敷き,しかも運搬中にローラーを取り替えるめんどうを省こうという考えが起こったとき,今日の荷車の原型が生まれた。この原型では,たぶん,平らな荷台の底の両側に1対ずつか2対ずつの木釘を打ち付け,1対の木釘の間に1本のローラーを差し込んだであろう。…

【べか車】より

…近世大坂市中で用いられた人力荷車。のちに板車ともいわれた。…

※「荷車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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