ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャン・ガストネ」の意味・わかりやすい解説
ジャン・ガストネ
Gian Gastone
[没]1737.7.9.
メディチ家最後のトスカナ大公(1723~37)。フルネーム Gian Gastone de' Medici。父コジモ3世が 80代の高齢で死亡したため,家督を継いだときには 53歳になっており,放蕩のあげくに健康を害し,統治者にあるべき野心も能力ももはや備えていなかった。ヨーロッパ列強はすでに 1718年に,メディチ家の男系が断絶したらトスカナ大公はブルボン家のカルロス(のちのスペイン王カルロス3世)が継承するものと決定していた。しかしカルロスはスペイン軍を率いてナポリ(→ナポリ王国)を征服し,その結果 1735年に結ばれた和平条約の下でトスカナ大公の地位はオーストリアのロートリンゲン公フランツ(のちの神聖ローマ皇帝フランツ1世)に受け継がれた。ジャン・ガストネはこの事実を受け入れざるを得ず,スペインはトスカナから軍を撤収,代わって乗り込んだオーストリア部隊が 1737年2月5日,大公に忠誠を誓った。ジャン・ガストネはその 5ヵ月後に死亡し,メディチ家の主流はとだえた。
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