野心(読み)ヤシン

デジタル大辞泉 「野心」の意味・読み・例文・類語

や‐しん【野心】

ひそかに抱く、大きな望み。また、身分不相応のよくない望み。野望。「政治家になりたいという野心に燃える」「政権奪取の野心をもつ」
新しいことに取り組もうとする気持ち。「野心作」
野生動物が人に馴れずに歯向かうように、人に馴れ服さず害を及ぼそうとする心。
「但し―改め難くして、こころ猶予を懐けり」〈三教指帰・下〉
[類語]野望大望風雲の志意欲色気向上心欲望欲求欲情欲念欲心欲気よくけ欲得利欲私欲我欲執着煩悩ぼんのう娑婆気

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精選版 日本国語大辞典 「野心」の意味・読み・例文・類語

や‐しん【野心】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 山犬や狼の子が、人に飼われても野にあった時のことを忘れず、飼主を害そうとする荒い心。馴れ親しまないで他を害そうとする心。また、そのように思うさま。
    1. [初出の実例]「但野心難改、情懐猶予」(出典:三教指帰(797頃)下)
    2. 「或は又其子を質に出して野心(ヤシン)の疑を散す」(出典:太平記(14C後)一)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐宣公四年〕
  3. 謀叛を起こそうとする心。また、身分不相応なよくない望み。たくらみ。
    1. [初出の実例]「全不野心之旨、奉驚日本国中大小神祇冥道」(出典:吾妻鏡‐元暦二年(1185)五月二四日)
  4. ひそかに抱いている、あるいは、その人に不相応な望み。また、新しい大胆な試みにとり組もうとする気持。
    1. [初出の実例]「仍懸橋自他人々往反云々。凡大慶歟。且無為珍重。但不心中之野心」(出典:親長卿記‐文明六年(1474)四月三日)
    2. 「女に惚れられやうといふ野心(ヤシン)があるからだ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉六)
  5. 仕官をいとい、民間に隠れようとする心。田園生活を楽しもうとする心。〔宋書‐王僧達伝〕
  6. いやしい心。野卑な心。また、自分の心をへりくだっていう。
    1. [初出の実例]「毎〈略〉杜氏草勢、未甞不野心忘憂、山情含一レ笑」(出典:性霊集‐四(835頃)進悉曇等書表)

の‐ごころ【野心】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 鳥獣、特に、鷹などが自由な野生生活を慕って飼主になつかないこと。
    1. [初出の実例]「春の日のうららかにある荒鷹や野心もなくやかて見ゆらん」(出典:定家鷹三百首(1539)春)
  3. 山野を慕い、遊びに行きたいと思う気持。
    1. [初出の実例]「花の比は野心つかぬ人もなし〈意敬〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)六)

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普及版 字通 「野心」の読み・字形・画数・意味

【野心】やしん

野獣の荒々しい心。〔左伝、昭二十八年〕是れ豺狼(さいらう)の聲なり。狼子野心なり。

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