改訂新版 世界大百科事典 「スカレシア」の意味・わかりやすい解説
スカレシア
Scalesia
ガラパゴス諸島に特産するキク科の木本属。同諸島特産のゾウガメやフィンチとともに,19世紀初めビーグル号で訪れたC.ダーウィンに注目されたことで有名。草丈1~2mの低木種と高さ5~20mに達する高木種があり,前者は海岸付近に後者は島の内陸部に生じる。ともに葉は互生し単葉。葉柄が長くヒマワリに似た三角状楕円形のものと,シュンギクのように細裂する種とがある。夏に枝先につく頭状花は直径1~2cmと小さく,周囲に白い舌状花を並べるものと舌状花をもたないものとがある。
C.ダーウィンの採集品はJ.D.フッカーが研究命名したが以後多くの研究が行われ,現在では4節14種に分類されている。諸島内の島ごとに種が異なり,大きな島では島内の生育環境の差に対応して種や亜種に分化するなど,種の進化の研究対象として興味深い材料である。染色体数はいずれも2n=68。
執筆者:小野 幹雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報