日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゾウガメ」の意味・わかりやすい解説
ゾウガメ
ぞうがめ / 象亀
giant tortoise
爬虫(はちゅう)綱カメ目リクガメ科に属する陸生では最大のカメ類の俗称。インド洋上のアルダブラ、セイシェル両諸島に分布するアルダブラゾウガメGeochelone giganteaと、エクアドル領ガラパゴス諸島に分布するガラパゴスゾウガメG. elephantopusのリクガメ属2種が知られる。ゾウガメの名は、ドーム状の重い甲を支える柱状の太い四肢や長い頸部(けいぶ)の皮膚のようすがゾウを思わせることに由来する。動物園などで飼育される種の大半はアルダブラゾウガメで、甲長の最大が1.23メートルに達する。餌(えさ)は植物質である。1766年にフランスの探検家マリオンによりセイシェル諸島からモーリシャス諸島に運ばれた「マリオン」ゾウガメは、152年間の飼育記録を樹立した。来島時すでに成体であったことから、寿命は180年ほどと考えられている。ガラパゴスゾウガメは背甲前縁の項甲板(こうこうばん)を欠き、生息する11の島ごとに甲の型が異なり、ダーウィンの進化論の根拠の一つともなった。15亜種に分類されるうち、過去の乱獲や持ち込まれた家畜の圧迫で、島によりすでに絶滅したものもある。残りも危険な状態に置かれ、すべて厳重な保護下にある。主食はウチワサボテンの新芽や果実である。卵生で、多いものは一度に20個余りを産み、200日余で孵化(ふか)する。
[松井孝爾]