日本大百科全書(ニッポニカ) 「スキリッツェス」の意味・わかりやすい解説
スキリッツェス
すきりっつぇす
Skilitzes
生没年不詳。11世紀後半のビザンツの歴史家。文人政治家プセロスの同時代人。宮廷の高官でテオファネスの年代記の継続を目ざし、『歴史の概観』を著した。これは811年から1075年を扱い、アモーリア朝の諸皇帝の運命とマケドニア朝の興隆と没落を記録した11世紀の最重要の史料。序言で、現在は失われている諸歴史作品の解説を行っていることも、この作品の価値を高めている。さらに1059~79年を扱った『続スキリッツェス』がある。構成も文体も前作に酷似しているところから、以前は作者不詳とされたこの作品もスキリッツェスの第二作ではないかといわれている。ともに後代の歴史家の多く引用するところとなった。
[和田 廣]