日本大百科全書(ニッポニカ) 「スキーツアー」の意味・わかりやすい解説
スキーツアー
すきーつあー
ski touring
スキー場(ゲレンデ)を離れた、スキーを伴う登山行のこと。本来は本格的なスキー登山をさしていたが、現在ではスキーによる山歩きをさすことが多い。
大自然を舞台に行われるスキーツアーはスケールの大きい新たなスキーの楽しさを体験させてくれる。しかしゲレンデと異なり、厳しい冬山の危険がすぐ隣り合わせにあることを認識して、自己の能力を適正に評価し、その能力の範囲内で行動することが鉄則である。コースの予備知識、基礎体力、パーティーの編成、装備の確認、行動スケジュールの作成などを決行前にチェックする。装備ではとくに防風、防寒(保温)を考え、救急用品、応急修理具、予備食糧、着替え、予備のセーターが必要である。高度なスキー技術は必要としないが、安全確実で疲労の少ない回転技術、制動技術、さらに集団で行動する能力が要求される。行動は安全を第一とし、登りはサブリーダーを先頭にリーダーが最後尾について、体力の劣る人を標準にしてつねにメンバーを掌握する。下りはリーダーがトップにたち、速度と地形を選んで滑降する。冬山の変わりやすい天候にはとくに注意が必要である。ルートの標識が整備されているコースでの春スキーのツアーは、初心者でも楽しむことができる。
[福岡孝純]