日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストルガツキー」の意味・わかりやすい解説
ストルガツキー(兄弟)
すとるがつきー
アルカディАркадий Натанович Стругацкий/Arkadiy Natanovich Strugatskiy(1925―1991)、ボリスБорис Натанович Стругацкий/Boris Natanovich Strugatskiy(1933―2012) ロシアのSF作家。兄のアルカディは日本語を専攻して上田秋成(あきなり)の『雨月物語』などの翻訳者としても知られている。弟のボリスはプルコボ天文台に勤務。兄弟合作でSF短編集『6本のマッチ』を1959年に発表した。初期の長短編は地球や太陽系を舞台にしてユートピア的倫理を働かせた楽天的な未来物語が多く、エフレーモフの影響がみられるが、その後、異質の文明を対比させることによって社会学的テーマを追究し、ゴーゴリの衣鉢をつぐ風刺家と目されるようになった。代表作『神様はつらい』(1964)は架空の惑星に託してファシズム、スターリニズムの反啓蒙(けいもう)主義を描いたもので、1973年に英訳されて、作者の名前が広く英米のSF界でも知られるようになった。邦訳された作品はほかに『収容所惑星』(1971)、『蟻塚(ありづか)の中のかぶと虫』(1980)などがある。
[厚木 淳]