エは「衣」の呉音。三衣一鉢のことであるが、「今昔物語集」では①の挙例のほかに「衣鉢を投棄て」「衣鉢を棄てて」などの類型表現で、すべてを投げうつことを比喩的に表わしている。
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仏道修行者の衣服と食器。〈えはつ〉〈えほ〉ともいう。日常最小限の道具,所持品の意より,師が弟子に許す正法,もしくは悟りをあらわす物証となる。日本で,茶道その他の諸芸の奥義を意味するのは,その転化である。インド仏教の戒律で,僧伽梨衣(普段着),鬱多羅僧(上衣),安陀衣(下着)という3種の袈裟(けさ)と,一つの鉢多羅,すなわち鉢盂(はつう)を所持することを認めたのが原義で,中国の禅宗では,五祖の法をつぐ神秀(じんしゆう)と慧能(えのう)がその衣鉢を争ったとされる。
執筆者:柳田 聖山
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「いはつ」とも読む。三衣一鉢(さんえいっぱつ)の略。僧侶(そうりょ)の3種の袈裟(けさ)(大衣(だいえ)、七条衣(しちじょうえ)、五条衣)と、僧侶の食器である鉢盂(はつう)(応量器(おうりょうき))をいう。これは僧侶の持ち物のなかでもっともたいせつなものとされる。禅宗では師弟の間で、伝法のしるしとして袈裟と応量器を伝えたことから、法を伝えることを「衣鉢を伝える」「衣鉢を継ぐ」などといい、衣鉢が仏法そのものを意味する語として用いられる。また僧侶が本来蓄えてはならない金銭などの財物をさす隠語としても用いられる。
[中尾良信]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…日本で,茶道その他の諸芸の奥義を意味するのは,その転化である。インド仏教の戒律で,僧伽梨衣(普段着),鬱多羅僧(上衣),安陀衣(下着)という3種の袈裟(けさ)と,一つの鉢多羅,すなわち鉢盂(はつう)を所持することを認めたのが原義で,中国の禅宗では,五祖の法をつぐ神秀(じんしゆう)と慧能(えのう)がその衣鉢を争ったとされる。【柳田 聖山】。…
…日本で,茶道その他の諸芸の奥義を意味するのは,その転化である。インド仏教の戒律で,僧伽梨衣(普段着),鬱多羅僧(上衣),安陀衣(下着)という3種の袈裟(けさ)と,一つの鉢多羅,すなわち鉢盂(はつう)を所持することを認めたのが原義で,中国の禅宗では,五祖の法をつぐ神秀(じんしゆう)と慧能(えのう)がその衣鉢を争ったとされる。【柳田 聖山】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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