改訂新版 世界大百科事典 「スヘルテマ」の意味・わかりやすい解説
スヘルテマ
Carel Steven Adama van Scheltema
生没年:1877-1924
オランダの詩人。アムステルダムに生まれ,医学生,俳優,美術商を経たのち詩作に専念した。長い外国生活ののち,ベルヘン(北ホラント州)に住み,同地で没。19世紀末ホルテル,ローラント・ホルストらとともに社会主義詩人となったが,両者と異なり,社会主義を大衆に了解される新しい芸術の基礎と考えた。《太陽と夏》(1902),《静けさと闘争》(1909)などにみられる平明で楽天的な詩は抒情と社会主義の理想をうたい大衆の人気を得たが,彼の本性はむしろメランコリックであった。《歌声》(1916),《帰る家畜》(1920)は,第1次大戦とそれに続く革命が彼に精神的苦悩を与え,1914年以前の,牧歌的な未来への期待を打ち砕いたことを示している。死後《詩集》(1934)が出版された。
執筆者:栗原 福也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報