日本大百科全書(ニッポニカ) 「すみつかり」の意味・わかりやすい解説
すみつかり
栃木、茨城、群馬、埼玉各県の郷土料理。2月の初午(はつうま)の日によくつくる。栃木県では「しもつかれ」とよばれ、代表的な郷土料理とされている。材料はダイコン、ニンジン各1本、炒(い)り大豆0.2リットル、塩ざけの切り身三切れ、油揚げ半枚。ダイコンは荒おろし(竹製のおろし器)にかけるか、小さい乱切りにする。ニンジンも同じように下ごしらえする。塩ざけは細かく切る。炒った大豆は皮をとっておく(一升枡(ます)の底で押しつぶす)。大きな鍋(なべ)でこれらを半日煮るが、塩かしょうゆを加えることもある。酒粕(さけかす)で味をつけ、油揚げを加えて十分煮込む。ダイコンのおろし汁も捨てないで鍋に加える。江戸後期の作家柳亭種彦(りゅうていたねひこ)は『柳亭記』のなかで「昔はいずれの国にても常に調したるが、その事絶えてただ稲荷(いなり)に供するのみ、酢みづかりは酢むつかり」としている。
[多田鉄之助]