百科事典マイペディア 「スーパー抗原」の意味・わかりやすい解説 スーパー抗原【スーパーこうげん】 毒素やウイルスなど,体内に入って免疫反応を起こさせるものを抗原という。このうち,免疫反応に過剰な刺激を与えて,免疫の主役となるT細胞を異常に増殖させ,かえって高熱や発疹を引き起こす抗原をスーパー抗原という。 スーパー抗原が発見されるきっかけとなったのは,1970年代に,食中毒を起こすブドウ球菌を出す毒素が,ごく少量でもT細胞を異常に増殖させることがわかったこと。その後,この毒素がほかの抗原とはまったく違った方法でT細胞を刺激することがわかり,1989年にスーパー抗原という名がつけられた。 スーパー抗原となる毒素には,ブドウ球菌を出す十数種類のほか,猩紅(しょうこう)熱を起こす3種類の連鎖球菌,異型猩紅熱(泉熱(いずみねつ))の原因菌であるエルシニア・シュードベルクローシス(偽結核菌)が出す毒素などがわかっている。さらに,原因不明の川崎病の一部がエルシニア菌感染の症状と似ていることから,スーパー抗原との関連が疑われている。なお,エイズや癌(がん)との関連を示す実験もあるが,はっきりしたことはまだわかっていない。 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報