セイヨウアカネ (西洋茜)
madder
common madder
Rubia tinctorum L.
根から赤色染料を採るために栽培されるアカネ科の多年草。原産地はヨーロッパから西アジアにかけての地域とされ,地中海沿岸で栽培されていた。つる性の茎は高さ50~80cm,よく枝分れし,短いとげがある。葉は広披針形で長さ3~5cm,茎に対生するが,それぞれに2枚の托葉がつくために6枚の葉が輪生しているように見える。夏から秋に,茎端や葉腋(ようえき)に花穂をつけ,淡黄色の小花が多数咲く。花は先端が5裂し直径5mmほど,おしべは5本である。根には配糖体の赤色色素アリザリンalizarinが存在する。深紅色で光沢があり,古来重要な染料であった。絵具のローズマダーrose madderは,このアリザリンを用いたものである。化学染料の出現により,栽培は激減した。日本に自生する同属のアカネは,根に赤色色素プルプリンを含み,やはり染料として利用される。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
セイヨウアカネ
せいようあかね / 西洋茜
common madder
[学] Rubia tinctorum L.
アカネ科(APG分類:アカネ科)の多年草。原産地はヨーロッパから西アジア地域。茎は高さ50~80センチメートルになり、1枚の葉と2枚の托葉(たくよう)とが対生しているため、6枚の葉が輪生しているようにみえる。夏から秋にかけて淡黄色の小花を開く。根から紅色染料をとるために地中海沿岸を中心に栽培される。根にはルベリトリン酸などのアリザリン配糖体を含み、深紅色の染料となる。近年は化学染料が利用されるようになったので、栽培は少なくなった。
[星川清親 2021年5月21日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内のセイヨウアカネの言及
【アカネ(茜)】より
…変異に富む種で,日本から東南アジア,ヒマラヤにかけて広く分布する。ヨーロッパ産のセイヨウアカネ(ムツバアカネ)R.tinctorum L.(英名common madder)は葉が6枚輪生し,根は[アリザリン]alizarinを含み,アカネと同じように,染色に用いられた。【福岡 誠行】
[染色]
アカネの根に含まれる赤色色素を熱水で抽出して得る染色(そめいろ)を茜という。…
【アカネ(茜)】より
…変異に富む種で,日本から東南アジア,ヒマラヤにかけて広く分布する。ヨーロッパ産のセイヨウアカネ(ムツバアカネ)R.tinctorum L.(英名common madder)は葉が6枚輪生し,根は[アリザリン]alizarinを含み,アカネと同じように,染色に用いられた。【福岡 誠行】
[染色]
アカネの根に含まれる赤色色素を熱水で抽出して得る染色(そめいろ)を茜という。…
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