改訂新版 世界大百科事典 「セラミック半導体」の意味・わかりやすい解説
セラミック半導体 (セラミックはんどうたい)
ceramic semiconductor
半導性を示すセラミックス。半導性を生ずる原因は,純物質では温度と雰囲気によって化学組成がわずかに変化すること,微量成分を含む場合にはその微量成分によって格子欠陥を生ずることである。前者の例にはZn1+δOとかCo1-δOなどがある。いずれも酸素分圧が変化するとδが変化し,ひいては導電率も変化する。微量成分を含むものの代表例にはチタン酸バリウムBaTiO3(微量の酸化ランタン(Ⅲ) La2O3)がある。半導性を示すBaTiO3は,低温では低抵抗,BaTiO3の相転移温度以上では高抵抗であるので,抵抗加熱素子として,布団乾燥機,ヘアドライヤーなどに使われている。このほか,酸化亜鉛ZnOを微量の酸化ビスマスBi2O3とともに焼結したもののように,ある電圧では高抵抗でバリスター電圧と呼ばれる電圧以上では低抵抗となるもの,酸化スズSnO2のように空気中の微量の可燃性ガス(プロパンなど)が存在すると抵抗が急激に減少するためガス漏れセンサーとして使えるもの,など多くの種類がある。
→セラミック電子材料
執筆者:柳田 博明
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