主として自動車のエンジンを始動させるための電気モーター。英語ではセルフスターターself starterという。イグニッションキーをオンにしたのち、さらに一段ひねるとスイッチが入ってバッテリーからの電力で回転、スクリューによりピニオンギヤがフライホイール外周のリングギヤにかみ合ってクランクシャフトを回す。エンジンがかかると自動的にピニオンギヤがリングギヤから外れるようになっている。
初期にはエンジン前方のクランク棒を手で回して始動させたが、強い腕力を要するために女性や老人にはきつい仕事であった。さらにエンジンの不正爆発による逆転で腕や顎(あご)の骨を折ったり、ときには死亡することさえあった。そこでアメリカのキャデラック社の社長リーランドHenry M. Lelandがデルコ研究所所長のケッタリングCharles F. Ketteringに開発を委嘱、1912年型のキャデラック車に初めて採用された。
[高島鎮雄]
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...