改訂新版 世界大百科事典 「センチュリーギルド」の意味・わかりやすい解説
センチュリー・ギルド
Century Guild
室内装飾品を製作したイギリスの工房。1882年,マックマードArthur Heygate Mackmurdo(1851-1942),S.イメージ,H.P.ホーンらが,ラスキンやW.モリスの主張と,その結果であるセント・ジョージズ・ギルド,モリス商会に刺激されて組織したもの。〈商人ではなく芸術家による〉製品を目的としてアーツ・アンド・クラフツ・ムーブメントの推進力となる。同人的な集団として,モリスの社会主義的傾向に対して比較的保守的であり,むしろ素朴に中世の生産体制の再現を志向した。デザインは主にマックマードの手になり,アール・ヌーボーの先駆と見られる流麗な線と形体を特色とする。しかし共同作業が重視されたため,作家を類推するのが困難な場合も多い。84年から92年まで,木版画をふんだんに入れた機関誌《ホビー・ホースThe Hobby Horse》を刊行する。これは後に盛んになるグラフィックな定期刊行物の先駆をなすものとされている。88年以降,ギルドとしての活動は下火になっていった。
執筆者:湊 典子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報