改訂新版 世界大百科事典 「ゼッフィレリ」の意味・わかりやすい解説
ゼッフィレリ
Franco Zeffirelli
生没年:1923-
イタリアの演出家,舞台装置家,映画監督。フィレンツェに生まれ,建築を学ぶ。1940年代から50年代にかけて,M.アントニオーニ,V.デ・シーカ,L.ビスコンティに師事。ビスコンティは彼の舞台装置家としての才能を認め仕事を依頼,49年ビスコンティ演出《トロイラスとクレシダ》の装置で注目された。舞台の演出では61年ストラトフォード・オン・エーボンのシェークスピア祭における《オセロー》の演出,およびE.オールビーの《バージニア・ウルフなんか恐くない》の演出で地位を確固たるものにした。映画ではシェークスピアの《じゃじゃ馬ならし》(1967),《ロミオとジュリエット》(1968)を続けて監督,新鮮で優美な映像が好評を博し不動の位置を築いた。とくに,O.ハッシー主演の後者の映画は日本でも大ヒットして,ゼッフィレリの名を親しいものにした。オペラの演出も数多く,イタリアではやはり国際的な演出家であるG.ストレーレルと人気を二分している。繊細なマニエリスムと壮大なバロックの美が渾然と融合したスペクタクルに彼の真髄がある。
執筆者:溝口 廸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報