日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストレーレル」の意味・わかりやすい解説
ストレーレル
すとれーれる
Giorgio Strehler
(1921―1997)
イタリアの演出家。トリエステに生まれる。国立演劇アカデミーを卒業、第二次世界大戦中スイスで仮面座を結成し、カミュの『カリギュラ』を演出した。戦後帰国し、1947年P・グラッシとともにミラノ・ピッコロ座を創設し、演出を担当。68年に自主劇団を結成したが、72年ピッコロ座に復帰した。ゴルドーニ、シェークスピア、ブレヒト、チェーホフ、ピランデッロなどを上演して、実証的、叙事的な舞台に、テキストと観客を結ぶ新しい演劇性を創造し、世界的な演出家として定評を得る。とくにゴルドーニの『二人の主人を一度にもつと』は47年以来、日本を含む世界の劇場に記録的な巡演を続けてきた。またオペラ演出でもモーツァルトの『ドン・ジョバンニ』、ベルディの『シモン・ボッカネグラ』などを手がけ、国外でも顕著な成果を収めている。83年フランスに設置された「欧州劇場」の主宰者に就任、国際的な活躍を続けた。
[赤沢 寛]